二重世界
「けけけ、結構です!!」


私はバッとうつ伏せになり、歩伏前進よろしくズリズリと地面を這う。


「ははは、やっぱり面白いコだな。じゃあ頑張ってね。……あ、そうそう。俺の事は誰にも話しちゃダメだよ?」


「だ、大丈夫です」


「じゃあね!」


「あ、待って!」


彼が飛び立つ寸前、私は聞いておかねばならない重要な事を思い出した。


「なんだい?」


「あの、あなたのいる組織って何なんですか?さっきの男は何者?」


彼はこの質問にしばらく黙り込む。


「君は、それを聞いてどうするの?もし、少しでも復讐とかを考えているならやめた方が良い。120%死んじゃうよ?たとえ‘蘇りの力'を手にしていてもね」


「知ってたの……?」


「まあ瞳の奥を見れば、大体同じ‘二重世界の住人'だって事がわかる」


驚いた。でも確かに‘あの男'も私に気付いていたし……。
< 61 / 265 >

この作品をシェア

pagetop