二重世界
それにしても……


「‘二重世界の住人'って?」


「俺達はね、皆それぞれ現実世界の他に、2次世界というもう1つの世界に行けるんだ。それは未来だったり、夢の中だったり、空間を作り出したりね。その2つの世界は、リンクして重なりあっている」


彼は二重世界について教えてくれた。
彼が言うには、2次世界で起きた事は、現実世界でも事実になる。
じゃあ‘あの男'の持つ2次世界は『未来』?『夢』?それとも両方?


「二重世界の住人は、組織に沢山いるんですか?」


「複数人いるのは確かだね」


「あなた達は……犯罪者の集団……なの?」


私の言葉に彼は顔付きを険しくさせた後、フッと諦めたように笑った。


「まあ、さすがにわかるよな。君の言うとおり、俺がいる組織は犯罪組織だ。いや、俺の‘いた'組織だな、今となっては」
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