二重世界
「じゃあ、本来なら俺は今日死んでたのか?じゃあ君も、本当は今日死んでたんじゃないか?」


「正確には明日……かな?」


「明日死ぬ事はわかってるのか!?じゃあ君は一体どこから……、いや、君は‘君'なのか!?」


さすがに鋭い。
‘ルール'を破らないようにうまく話せるかしら……。


「なんて言ったら良いのか……。その……」


「君の‘ルール'に抵触するなら無理に話さなくて良い。大体わかったよ。その体はつまり、君の‘受け皿'なんだな。ふ~ん……、オッケー、君とはまた会う気がするよ」


彼は腰を落とし、大地を踏ん張った。


「あ、あなたの名前は!?」


「青い目だから‘アオ'とでも呼んでくれ、君は?」


「私は、片瀬詩織」


「詩織か。じゃあな、死ぬなよ!」


縁起でもない事を言って、アオは飛び去って行った。



「詩織か。彼女を守る義務なんてないと思ってたが、どうやらそういう訳にはいかんな。ま、でも明日死ぬ運命は変わらんだろうな」
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