二重世界
「そうだ。わかったら怪しい行動は取らない事。じゃあ、時間を動かすよ……」


メイフの気配が遠のいていくのがわかる。
新しく聞いたルールは、私にとってとても辛く、切ないものだった。



「あ、ごめんね詩織ちゃん。おばさんも食べるわね!」



時間が動きだし、お母さんは私の呼び掛けに答えるように箸を動かす。


悲しい……。


間接的に私の存在を教えるなんて考えてなかった。でも、その方法を思い付いて、希望が溢れた途端にその希望が断たれるなんて。

こんな事なら思い付かなければ良かった。


「詩織ちゃん?」


その後、私は自分の行動に気をつけて、お母さんとの時間を終えた。



―――冥界の門


「いやあ、あの子は無意識の行動が多くてヒヤヒヤするよ。もし彼女の元の存在が‘蘇り'以外の他人にバレたら、その時点で私が冥王様に罰を受けるからね。これで無意識の行動も取らないように気をつけるだろう。すまないね……」

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