二重世界
プルルルル……ガチャ


「はい、捜査一課・坪倉」


電話を取った男性の声は、とてもぶっきらぼうでダルそうだ。


「あの、昨日お電話頂いた片瀬詩織と申します。えと、牧野さんという方いらっしゃいますか?」


「ああ、片瀬さんね。牧野は俺の部下だ。今日の夕方空いてる?17時くらい。場所は武蔵警察署。オッケーかな?」


私が答える間もなく話が進む。なんかいい加減そうな人。でも学校終われば暇だし、まあいっか。


「はい大丈夫です。じゃあ、17時に伺います」


私は電話を切って、準備を整えた後、学校へ向かった。


教室のドアを開けると、凄い勢いで香織が突進してきた。


「詩織~!心配したのよ!朝のひと揉み!」


既に香織の行動を読んでいた私は、ヒラリとかわす。


「し、詩織、あんた……成長したねえ!」


しかしかわした途端、香織は私にしがみつき、顔を私の胸に埋めた。


「そこは一気に成長しないわよ!……もう、どうにでもして。。」
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