二重世界
その話を、南くんは興味津々に聞いている。


「ほう、ドリームランドか。心が弾みますなあ」


「あんたは誘ってないから!詩織とあたしだけで、あんな事やこんな事をするの……」


香織、何をする気なのかしら……?


「ゴクリ……。こ、こりゃあ……、学年の美女2人とランデブーか!」


「だからあ……!」


既に妄想モードに入った南くんには、香織の声は届いていないようだ。

そのとき、ガラッと教室のドアが開き、朝練を終えた亮ちゃんが入ってきた。

私はサッと顔を逸らしてしまう。すると、南くんが亮ちゃんの方へ尻尾を振るように駆け寄って行った。


「おい亮二!明日は部活か!?」


「あ?明日は休みだぜ」


「よし!イケメンゲット!明日は美女2人とドリームランド行くぞ!」


(なな……!
南くん、それはまずいわよ!
気まずすぎるわ!
……あ、でも亮ちゃんがOKするわけないわよね)


「はあ?何で俺が……」


「頼む亮二~!この健介(南)の生きている内に1度しか使えないという‘一生のお願い'を今こそ使おうじゃないか!」
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