二重世界
「それが君の能力だ。君は危険察知能力が、野生の動物以上に鋭い。それを鍛えていけば、危険を察知するだけでなく、例えば誰も知らないような重要な秘密に近づく事も出来ただろう」


「重要な秘密?あの男はつまり、何か重要な秘密を持っていたという事?」


「そうなるね」


「それを知られるとどうなるの?」


「さあ、それはここでは話せない。私はただの冥界の入り口の管理人だからね」


そう。私がそれを知ったところで意味はない。だって私はもう死んでいるんだから。


「この先の門をくぐると、君はいくつも枝分かれした道を歩く事になる。行先は冥界だ。それは地獄かもしれないし、天国かもしれない」


「そんな…。私は別に悪い事はしてないのに、地獄に行く可能性があるっていうの?」
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