二重世界
藤瀬ヒロミとして
翌朝、私は久しぶりに夢を見る事なく、目覚まし時計の音で起床した。


「んん、良く寝た~!今日は全て忘れて羽伸ばそう!」

シャワーを浴びて、着ていく服を選ぶ。そしていつもより少し長めにお化粧して……。


いざ出発。


家を出て少し歩くと、ばったりと亮ちゃんと会った。
固まる私。


(い、いきなり会ってしまった)


「何固まってんだよ。東京駅行くんだろ?」


やや不機嫌そうに亮ちゃんが話しかける。


「い、行くわよ。悪かったわね、私と一緒に行く羽目になって」


「全くだぜ…」


このセリフに、私はカチンときてしまった。


「じゃあ何でドリームランドに行く事OKしたのよ!?もっと楽しい休日を過ごせば良かったじゃない!」


私は自分が片瀬詩織である事を忘れ、ついヒロミ口調でわめきちらす。
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