二重世界
「当たり前でしょ!ここに来たらこれに乗らないと帰れないわよ!」


そしてついに私達の乗る番がやってきた。


「じゃあ、南、仕方ないから私の隣に乗る事を許す」


「ありがたき幸せ!」


香織は南くんを引っ張り、最前列の席へと座った。という事は。


「なんで俺がこいつと……」


「私だって嫌なんですけど!」


「ほら、何やってんの2人とも、後ろがつかえてるんだからさっさと乗る!」


香織の言葉に後押しされ、私と亮ちゃんは隣同士で前から2番目の席に座る。
結構密着度が高い。


「くっつくんじゃねえよ」


「くっつきたくてくっついてんじゃないわよ!……う、動いた」


ゆっくりと乗り物が動きだす。最上部へと進んだ後、私にとっての最大の恐怖の瞬間が訪れた。


ゴオッ!!
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