二重世界
「きゃあああ!!」


「てめ、しがみつくんじゃ……」


「亮ちゃん!!」


「………」


私は我を忘れて、目を瞑り、亮ちゃんにしがみついていた。乗り物は上下左右に動き、既に中間地点で私の意識は遠のきそう。


「ああ、楽しかったあ!!ね、詩織……、あら」


香織が振りむいて、ニンマリと笑う。私が亮ちゃんの腕に体を預け、必死にしがみついていたからだ。


「お、おい片瀬!終わったぞ!お前、いい加減に離れろよ!」


香織の視線に顔を赤くしながら、亮ちゃんが焦って私を引き離す。


「う……、ここは、天国……?」


私は亮ちゃんに肩を支えられながら、スペシャルマウンテンを降りた。そして瀕死(?)の私をベンチに座らせ、香織と南くんは飲み物を買いに行き、私の世話係として亮ちゃんがベンチで一緒に座ってくれた。
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