二重世界
上書きされた迷宮
ベンチで無言で座る私と亮ちゃん。
もしかしたら亮ちゃんは、片瀬詩織の中に藤瀬ヒロミがいる事を期待していたんじゃないだろうか。
そんな事は普通に考えたらバカげてる。
でも亮ちゃんは、私の事を良く知ってくれている。
だから外見と内面の不一致に疑問を抱き、あり得ないと思いながらも、藤瀬ヒロミがいる事を……、期待していたんじゃないだろうか。
もしそうだとしたら私は、その期待を無情にも断ち切ったというわけだ。
「お待たせ~」
香織と南くんが、4人分の飲み物を持って戻ってきた。
「ん、亮二も元気なくなってない?お前、疲れたのか?ダメだなあ、サッカー部の癖に」
「う、うるせえ!元気なら有り余ってるぜ。次はどこ入る?なんでも行くぞ!」
亮ちゃんは立ち上がり、どこともなく歩き出す。
「何あれ?ねえ詩織、何かあったの?」
「う、ううん、別に何も……」
「詩織……、あんた泣いてんじゃない!藤堂に何か言われたんでしょ!?」
もしかしたら亮ちゃんは、片瀬詩織の中に藤瀬ヒロミがいる事を期待していたんじゃないだろうか。
そんな事は普通に考えたらバカげてる。
でも亮ちゃんは、私の事を良く知ってくれている。
だから外見と内面の不一致に疑問を抱き、あり得ないと思いながらも、藤瀬ヒロミがいる事を……、期待していたんじゃないだろうか。
もしそうだとしたら私は、その期待を無情にも断ち切ったというわけだ。
「お待たせ~」
香織と南くんが、4人分の飲み物を持って戻ってきた。
「ん、亮二も元気なくなってない?お前、疲れたのか?ダメだなあ、サッカー部の癖に」
「う、うるせえ!元気なら有り余ってるぜ。次はどこ入る?なんでも行くぞ!」
亮ちゃんは立ち上がり、どこともなく歩き出す。
「何あれ?ねえ詩織、何かあったの?」
「う、ううん、別に何も……」
「詩織……、あんた泣いてんじゃない!藤堂に何か言われたんでしょ!?」