二重世界
嘘でしょ……。
ここのお化け屋敷は本格的。
2年前行った時は、途中で動けなくなった私を亮ちゃんが出口までおぶってくれたんだよね。

同じ事したら、また怪しまれちゃう。ここは南くんとペアに……。


「南はあたしと、詩織は藤堂とね」


香織~!
今はその気遣いがもどかしい。


「そういやここで、昔ひどい目にあったな……」


ボソッと呟いた亮ちゃんは、言葉とは裏腹に少し楽しそうに笑っていた。


(まずいなあ、思い出してるよ。
ここは心を落ち着けて。
大丈夫、1度経験してるんだから!)


「行くわよ藤堂くん」


「お前、とんでもなく怖がりとかじゃないよな?」


「残念だけど、私、お化け屋敷とか全然平気なのよね!」


「あ、そう」


私は自ら先陣をきって、お化け屋敷の中に突入した。
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