二重世界
中に入ると、目の前にスッと人影が現れる。


「わぁっ!!怖くないから!!」


「……まあ、入り口の係の人だからな」


「し、知ってるわよ」


お化けの格好をした係の人に一通り説明を聞いて、今度こそ突入!


「ひっ!!」「嫌あ!!」「無理無理!!」




「はあ、はあ……。大したことないわね……」


「良く言うぜ。完全に俺を盾代わりに進んでよ。腰抜かして俺におぶらせんなよ?」


亮ちゃんは特に意識せずに言ったんだと思う。しかしお化けの怖さでパニックになってた私は、えらく動揺した。


「ななな、何言ってんの!?全然平気だし!!‘あの時'と一緒にしないで……、あ、えっと…」


その瞬間、亮ちゃんが振り向き、私の両肩を掴んで叫んだ。


「‘あの時'?おい、お前今‘あの時'って言ったよな!?やっぱりお前、片瀬じゃないんだろ!?お前はヒロ……」


「違う!!」


私は亮ちゃんの腕を振り払って、私の声で亮ちゃんの声を遮った。
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