【短編】偽りの幸福☆
「あ、はーい・・・」



リサが出て行こうとすると、



彼はリサのスカートを少し引っ張った。



「うん?すぐ戻ってくるから、待ってて。ね」



彼の手を振り切って玄関に行くと、



リサの弟が立っていた。




「・・・姉さん、あの、大丈夫?心配になったんだ・・・」



弟は、悲しそうな表情で尋ねた。




「え?私は大丈夫だけど?」



弟の言う意味がよくわからなかった。




何が大丈夫なのかしら?




何で弟は、あんなにつらそうな顔をしているのかしら?



「あ、どうせだから上がってく?お茶ぐらい出すよ」



「え?でも、姉さん・・・」



「いいから、どうぞ」



少し無理矢理、弟を部屋に上がらせた。



彼は、相変わらず、無言でソファーに座ったままだった。



リサは、テキパキとコーヒーを準備した。



自分の分と弟の分と彼の分。

< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop