【短編】偽りの幸福☆
「はい、コーヒー。熱いから気をつけてね」



弟の前にコーヒーを置く。



「・・・あ、うん」



そして彼の前にも、




「どうぞ」と、コーヒーを置く。




弟は不思議そうに




「なあ、そのコーヒー、誰の?」



「え?」



なんでこんなことを言うのかしら?




彼は確かにあまり喋らないけど、




存在に気付かないなんて。




「彼のに決まっているでしょ?」




リサがそう答えると、



急に弟はテーブルを思い切り叩いて立ち上がった。




「おい、姉さん、どうしたんだよ!!何か変だぞ!?」



弟がリサの肩を掴んで、ゆさゆさと揺さぶってくる。



「ちょ、ちょっと!何が変なの?落ち着いてよ」



「姉さんが変なんだよ!彼氏が死んだからって、



姉さんまでおかしくなるなよ!」


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