『ヴァンパイア』短編・6ページ・完
「えっでもバンパイアって太陽の光に当たったら灰になっちゃうんじゃないの?」

「なるわけないじゃない。あたしゃ地球上生命体、最弱かっ!そんなもんテレビでニュースみたらいつも死亡事故はバンパイアばっかりになっちゃうよ」

「そりゃ、そうだ」

「それに月の光。あれだって月が光ってるんじゃないんだから。あれは月という地球の衛星に太陽の光が反射してるんだから。太陽の光がだめなんだったら月の光もだめじゃない」

「なんだ、あれは迷信だったんだ。まぁ、朝日の中を二人で登校してるんだ。うすうすわかってたんだけどね」

「それにしてもあたし信じられない。まさか幼稚園の時からずっと一緒だったのに今の今まで私のことを人間だと思ってたなんて」

「まぁぱっと見、人間と区別つかないじゃん?」

「でも、体育の授業の時、体育館の天井に逆さまに張り付いたりしてたでしょ?あれ、あんたできるの?」

「いや、あんなことよくできるな~って思ってた」

「そうでしょ?」

「逆さまに張り付くなんて普通に胸があったら顔の方にきちゃうもんな?」

「そういうことじゃねーよっ!」

「ほら、私、目が真っ赤じゃない。これ見てなんともおもわなかったの?」

「いや、真由子っていつも部屋に閉じこもってゲームばかりしてるからそれで目が真っ赤なのかと」

「ま、まぁ、私もこれが生まれつきなのか充血なのかわからないんだけど…」

「わからないのかよっ!!」

「でも、バンパイアって夜行性じゃないの?昼は寝てて夜に活動するんじゃ?」

「だって学校が昼だし…」

「そんなの夜間学校だってあるよ?」

「そんなの・・・あたし・・・小学生の頃から昼更かししてて、昼型になったっていうか・・・その・・・まぁ…」

 口ごもりながら徐々に顔が真っ赤になってきた。
胸の前で人差し指を絡めてもじもじしている。

 あっ。わかった。
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