『ヴァンパイア』短編・6ページ・完
「だって、幼なじみだし。近すぎて気がつかなかったっていうか・・・まぁ・・・ごめんな。でも真由子だって俺のことをなんでも知ってる訳じゃないだろ?」

「あたしは・・・あたしは悠希のことだったら何だって知ってるんだからっ!!」

「そ、そうか、サンキュ。まぁでも真由子がバンパイアだったからって何が変わる訳じゃないだろ?俺たちは今までだってずっと一緒だったし、これからもずっとずっと一緒さ。そうだろ?」

「う?うんっ」

 急にうれしそうになる真由子。何が気に入ったのだか知らないが今度は俄然ニコニコし始めた。全く、女っていうのは何を考えているんだかさっぱりわからん。

それにしても真由子がちょっと凹んだ顔をしたときはどうしたものかと思ったが最終的に元の真由子に戻って本当によかった。いつも明るくてにぎやかで天真爛漫な真由子の笑顔が好きだ・・・っていうんじゃないけれど、なんかほっとするっていうのは感じてる。真由子の恋の相手っていうのはわからないし、別に聞き出してやろうとも思わないけれど俺はいつでも真由子の応援団長だ。そう、彼女がバンパイアだろうが俺にとっては真由子は真由子。それ以上でもそれ以外でもない。これは言葉だけのものじゃないのさ。

「じゃあ、日も落ちてきたしそろそろ帰るか」

「えっもう帰るの?まだ校門が閉まるまでは時間があるよ?」

「まぁ一応さ」

「一応?」

「だって今日、満月だからな」

「あれ?あんたってオオカミ男だったっけ??」

「えっ?知らなかったの???」



『★END★』
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