ボクの初恋
人魚
「驚くのも無理はないだってウチは人魚だから!!」
ボクは口を大きくあけたまま唖然とした。
「…。」
「はっはぁ~?!何言っちゃってんのこの人」
思わず口した言葉。
だってマジで驚いたんだぜ!?
「お前ホントに人魚なの?」
「当たり前じゃん!ウチが嘘つきそうな顔してる?」
うん、してる。
まあそいつの格好はまさに小さい頃親父に聞かされた話と全く一緒だ。
腰まである栗色の髪。
真珠みたいに白い肌。
極めつけはこの島から見える海と同じ色をした魚の形をした足。
「あんた名前は?」
ドキッ
「な・ま・え・は?」
「ひっ瞳手(ひとで)だよ…。」
この世で一番嫌いな言葉、それはボクの名前だ…(泣)。
どうせ皆笑うんだろ、お前も…。
「プッブハハハハッ!ひとでっひとでだって~!!」
きた…お約束の展開。
「うるせぇなっ!!てめぇの名前も教えろよ!」
「ウチ?ウチの名前は優歌(ゆうか)よろしくね」
これが物語の始まりだった。