女心とアキのソラ
 俺は気持ちを切り替える。駅に着いたらコンビニでおにぎりでも買おう。

 それにしても、と俺は思考の矛先を変える。

 それにしても何でナツはああも浮気されるのだろう。

 ナツとは高校時代からの付き合いである。当時からおしゃれさんで、みんなから人気があり、恋多き女性で、ちょいちょい浮気をされていた。
 まぁ若いうちは色々あるよ、と慰めたものだったが、それから時は経ち、こちらが家庭を持ってだいぶ経つ今になっても年1の割合で浮気されている。彼氏が変わってもだ。

「男はみんな浮気するのよ」というナツの言葉を思い出す。
 この言葉で自分を省みるならば、俺は浮気をした事はない。

 どこからが浮気かという定義については曖昧だが、身近にいる女性に入れ込んでアキを泣かせることがそれだとするならば、ない。誓って、ない。そもそも身近に対象者がいない。

電車のドアが開き、ホームに吐きだされて。
コンビニを目指しながら会社の人間関係に頭を巡らす。

「あ、冬野先輩!」
 コンビニに入ったところで唐突に名前を呼ばれて振り向く。

「おはようございます、先輩」
「あ、雪村さん」

 彼女は二年後輩で、入社当時同じ部署だった事もあり仕事を教えたが今は違う部に配属されている。
 それでも仕事を教えてもらった俺に恩義を感じているのか今でも顔を見かけてはよく声をかけてくれるのだ。

「どうしたんですか?コンビニに先輩がいるなんて珍しい」
「あぁ、色々あってちょっと朝ごはん食いっぱぐれて…」

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