闇に映えるは儚き桜
「あら、起きたの?」
「おはようございます。母様」
「随分、遅い起床だな?」
「ごめんなさい、父様」
そこには父と母の姿
大きすぎるテーブルに多すぎるイス。
イス1つ分の間を開けて隣り合う2人の向かいに座る
向かい…といっても、目の前は誰もいないイス。
父と母の間に置かれたイスの向かい。
「2人はもう食べたの?」
目の前に運ばれてきた料理を見ながら聞く。
「私は、取引先の社長と…」
「俺は接待でな」
いつも、こんな感じ
私の両親は大企業の社長
母はコスメ関係で
父は情報ビジネス系だったはず
所謂、政略結婚って奴でお互いを愛してはいない。
私も、愛されていない。
私はただの道具
会社を大きくするためだけの
私に味方なんていない
ずっと孤独
誰も、孤独という闇の中から
私を見つけてはくれない。