闇に映えるは儚き桜
再
「愛してよ 見つけてよ
孤独の闇 出口はない
僅かな光 儚い光
優しい月光
温かさを教えてくれたのは
君でした――――――――」
大好きな歌
悲しいようで温かい
早く、早く、君に………
パチパチパチパチ…
「素晴らしい歌声でした」
「ありがとう……麗樹くん」
拍手の主は1番逢いたかった人
「覚えててくれて嬉しいよ。漆歌ちゃん」
あぁ、なんでだろう
こんなに、胸が熱くなるのは。
「座ろうか。」
私たちは桜の根元に座る
「来てくれて、嬉しいよ。」
「約束、だからね」
そうだね。と微笑む君
その表情につられる
消したはずの表情が、感情が、戻ってくる
君の前では、道具としてじゃなくて、人として、存在していられるんだ。
「漆歌ちゃんの趣味って何?」
「特に、無いけど…」
「歌は?」
「どうだろう…趣味、かな?」
「なんで、疑問系なの?」
クスクスと笑う君は桜がよく似合うくらい綺麗で。
「わ、笑わないでよ…。」
「ごめんごめん。」
「そういう、麗樹くんは?」
自然と、聞いていた。
人に興味は無いはずなのに
「絵を描くこと……かな?」
「麗樹くんだって疑問系」
「あ、ほんとだ。」
2人でクスクスと笑う。
久々に、笑った気がした。