闇に映えるは儚き桜
「私の両親は、大企業の社長で、今まで欲しいものは全て買って貰ってた。
でも、その代わりに私は独りだった。
友達は金めあて。
親と遊びに行ったことはないし一緒に映ってる写真だって2、3枚くらいしかない。」
ちらりと君を見ると、驚いた様子なんてなくて。
ただ、泣きそうな悲しいような目で私を見つめてた。
「小学校6年生の頃は周りに壁を作って誰も寄せ付けなかった。そんなとき、新しい使用人が来たの。」
大嫌いな、あの男が。
「ちょっとその人といろいろあって……その時言われたの。」
《お前は所詮、跡継ぎをつくるための道具としかみられてないんだよ!両親に愛されてない、それはお前が道具だからさ》
「漆歌ちゃん…」
グイッ…
「ぇ、あ、麗樹…く、」
「辛かった…よね。」
私は麗樹くんに包まれて
辛かったよね、その一言に
涙を流した
「ぃや、なの、誰も…助けてっ…くれなっ…」
「大丈夫。僕がいる」
「え…?」
涙でぐちゃぐちゃになった顔で麗樹くんの顔を見た
桜を背景に微笑む君に
私は…惹かれたんだ