闇に映えるは儚き桜
 
「今の歌…君が?」

「そうだけど?」

君はふわりと笑った

「綺麗な声だね。」

少し、混乱した。
綺麗なんて言われたことないし笑いかけられたこともないから

「あ、ありがと…」

顔が、熱い

「隣、座っていい?」

「いいけど…」

「ありがとう」

少し、距離を開けて君は座る

2人の間には沈黙

でも、この沈黙は嫌いじゃない

「ね、名前は?」

君が静かに聞いてくる。

「名乗るときは先に名乗るのが筋なんじゃないの?」

冷たく返す
でも君は微笑んだまま

「クスッ……そうだね。僕の名前は彩戒 麗樹(サイカイ ライキ)」

君は?と促される

「藤桜 漆歌(トウオウ シッカ)」

「漆歌ちゃん…でいい?」

コクンと頷く

「僕は麗樹でいいから」

またコクンと頷く

「呼んで?」

「え?」

「名前呼んでよ。漆歌ちゃん」

その笑顔は…反則だと思う

「麗樹………くん」

呼んで、直ぐに俯く
顔が、さっきより、熱い
なんで?

そんなことを考えてたら、頭に軽く何かが触れた

撫でられていると気づいたのは数秒後。



 
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