闇に映えるは儚き桜
シャワーを浴びる。
あいつの臭いを、存在を、
消し去るように。
その間も、頭に浮かぶのは夜、桜の下で出逢った彼
いつもは冷たいはずの心が彼を思うと温かくなる
着替え終わると、冷凍庫を開けて氷を袋に詰める
「はぁ、」
腫れた頬にそれを当てる
シャワーと殴られたのとで熱くなった患部にその冷たさは酷く心地よかった
「彩戒 麗樹…か。」
同い年くらいかな?
ちょっと年上かもしれない
なにやってんのかな
勉強、得意そうだな
「っ…何考えてるんだろ」
人に興味はない
信じても、裏切られるだけ
どうせ傷つけられるなら
独りでいた方がマシだ