先生のバイク ~side先生~
なんだよ・・・。

無責任すぎるだろ・・・・・。

「・・・お兄ちゃん・・・。」

夢子が、潤んだ瞳で、こっちを見てくる。

俺は、目から涙が、あふれ出てきた。


「お兄ちゃん・・・、引っ越そう・・・。
 ここに居たら、いろいろ思い出しちゃって、あの人・・・、お父さんのこと、嫌いになっちゃう・・・。」

「・・・分かった。」

荷物は少ない。

ほとんど2人で住んでいたから、2人の物ぐらいしかない。


ここには、いろんな思い出がある。


父親に殴られたり、知らない女がベッドで寝てたり、母親が毎晩泣いていたのを見たり・・・。


でも、嫌な思い出ばかりじゃない。

まだ、優しかったころ、
父親と、たくさん遊んだ覚えがある。

体をくすぐられたり、ゲームをしたり・・・。



そんなここも、お別れだ。

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