もてる恋
自分が一番早く着替えられて、


一番かわいい服を選んだ。


白いシャツにピンクのチュチュスカート。


友達と遊ぶ時も着ないくらい、


稀に着るものだった。


「お待たせいたしました!」


「うおっ…」


「ど、どーしたの?ごめん、変かなあ?」


「違っ、あれだから、逆だから…行くぞ」


「なになに!言ってよ~!」


馬鹿な私でも「かわいい」って言ってくれることくらい


わかった。


照れてる勇人君も、かっこいい。


「着いたよ」


「おお・・・ え?」


「ごめん、俺、一人で暮らしてんだよね。」


まあ、入ってよ」


「おじゃまします!」


勇人君の部屋はちょっと小さくて、


段ボールだらけで、


キッチンにはプラスチックの弁当の入れ物が


積み重なっている。


< 14 / 21 >

この作品をシェア

pagetop