君に声が届くなら
「 えーっと…なんで? 」
わたしがそういうと、
荻原くんはわざとらしく大きなため息をついた。
「 暗いから、送る。 」
言い終わるのとどっちがはやいか、
どんどん荻原くんは前へ進んでいく。
……やばい。
荻原くんって優しいんだ…。
今知ったわけじゃないけど、
図書室のドアを押さえててくれたり、こうやって送ってくれようとしたり。
「 …で、どこ? 」
見れば荻原くんは数メートル先で止まっている。
「 N町… 」
荻原くんは、了解と言うと
さっきより少しゆっくりと歩き出した
……ほらね。