君に声が届くなら
近くにはフロントガラスが粉々に砕けて無残な姿の車があった。
何があったかなんて、容易に想像がついた。
こんなことまで、"あの時"と同じだ。
少し離れたここからでもよくわかる。荻原くんの顔色がだんだん青ざめていく。
気持ちを伝えるのはもう"遅い"と思っていた
気持ちを伝える資格はないと思っていた
ピーポーピーポー
救急隊の人に乗せられてく荻原くんを見て、わたしはギュッと目を瞑った。