君と紡ぐ唄【企】
伝承
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鳳凰が舞う、やさしい空。
あおい海みたいで。
想いをつたえる夕暮れみたいで。
きれいな色。
だけど。
鳳凰は空以外の世界なんて…
知らなくて。
行けなくて。
そんな鳳凰にはいつも蛇がいた。
心配そうに世界を見る、
やさしい鳳凰を
蛇はいつも見ていた。
蛇と話すのを楽しみにしている、
虎の想いには気づかずに。
虎がのぞいた泉には…
彼女を見る亀がいた。
「私なら貴女にそんな顔、
させたりしないのに…」
届かぬ想いはゆらゆらゆれる。
水の中しか知らない亀。
だから。
空に舞う龍の気持ちなんて…
伝わるはずがなかった。
水の鏡には映るのに。
亀の瞳には映らない龍。
それでもいつか…
伝わるだろうか?
*
たくさんの想いはゆらゆらと。
美しい世界を彩る。
空には、
たくさんの想いがある。
たくさんの愛がある。
だから時々。
空を見上げると…
泣きたくなるんだ。
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