彼女の日記〜きみを忘れない〜
幸恵の言う方へと車を走らせる。
大きな店が立ち並ぶ室駅とは違い、幸恵の住んでいる家の方は、すれ違う車もなく、外にあるのは田んぼだけ。夜にはイノシシや、タヌキが出そうな、静かなところだ。
「なんか、相手に好きな人が出来たみたいで・・・それで、別れました。フフフ。私、大沢さんの事、好きって思っていたのに、他の男の人と付き合ってました。」
もう幸恵は泣いてはいない。
しかし、いくら普通に喋っていても、傷ついているのにかわりはない。
「好きって言われて、嬉しくない奴はいないよ。ありがとう。でも、俺・・。」
言葉につまる。この先を言ったら、また傷つくような気がする。
「彼氏と別れた後だから、余計に誰かにそばにいてほしいって思うんですね。私、大丈夫ですから。告白しても、駄目だって分かってましたから。」