彼女の日記〜きみを忘れない〜
向こうから電車のライトが見えてきた。
私は急いでベンチまで走った。普段走ってないから、すぐに疲れる。もともと運動は苦手なタイプ。走るのも遅い方で、運動会のリレーは嫌だった。
「誰かいる・・・。」
見えてきたベンチには、光に照らされた2人の姿。カップルかな・・・。
真っ暗な中、1人で電車に乗るよりは、誰かと一緒に乗った方が安心だと思って近づいた。
「カズくん・・・」
「・・ゆい。」
近づいたせいで、はっきり見えてしまった。そこにはカズくんと、知らない女の人。私より年下に見える。そっか。今日、クリスマスだった。彼女とデートなんて、普通だよね。
何で彼女泣いてるの?カズくんが泣かしたの?
「大事にしてあげてね。」
隣の彼女が何か言っているのは分かったが、彼女の言葉なんて、聞いてなかった。聞いていたのは電車が来る音だけ。
とにかくその場から離れたかった。早く誰もいない電車の中の椅子に座りたかった。