彼女の日記〜きみを忘れない〜
ソファーの置いてある部屋も他の部屋も、特に荒らされた様子はない。
残りは台所。
気のせいだといいけど・・・
足音をたてず台所に向かうと、床には夕飯の残りが入ったお皿、冷凍食品が入っていた透明の入れ物が散乱し、果物の缶詰が倒れ、中の汁がこぼれている状態だった。
心臓の鼓動が速くなる。
その状態を見つめたまま、私は動けなくなった。
警察に連絡しようと頭の中で考える事は出来ても、こわくて足が動かない。
両手で、床にへばりついて動かなくなった足を前へ動かし、なんとか足を動かすまでいった。
誰かに連絡しないと・・・
台所にあった受話器を持った瞬間。廊下から物音がした。
ドキッとして、私はいつも使っている包丁を手に握り締めた。
危ないと分かっているけど、このままだと自分も危ない。
誰がいるの?