彼女の日記〜きみを忘れない〜
『ちゃんと働いてくれるから、お母さん嬉しい』
って言っていたお母さん。
今なら、あんなに辞めるよう私に言った理由が分かる。
「ねぇ。私、あと、どのくらい生きられるの?」
ソファーに座る私は、今日、仕事が休みの母親に聞いた。
「何、言ってるの・・・」
台所から戻ってきた母親の声が、少し低く感じた。
「何って・・だから、いつまで私・・・」
「あんたは丈夫だから。」
大丈夫?私が?この体で大丈夫なわけない。お母さん、本当は知ってるんでしょ。
「もう、治る見込みがないんでしょ。」
私だって、それくらい分かる。
「何、言ってるの!そんな事ないに決まってるじゃない。」
「嘘、言わないで!私、介護の仕事してるんだよ?利用者が亡くなっていくのを見てるんだよ。こんな症状が出始めたら、こういう病気だなんて、もうわかってきたんだ。だから、教えて?私は、あと、どのくらいなの?」