彼女の日記〜きみを忘れない〜
久しぶりに怒鳴った。
走った後みたいに息がハァハァ言っている。
短い沈黙の後、母親は言った。
「あと、半年、生きられるかどうか・・・」
声が震えている。
「あと、半年って?残り、半年しかないの?」
ソファーに座るお母さんは、私に背中を向けて黙っている。それでも私は、その背中に向かって聞いた。
「半年過ぎたら、私はどうなるの?半年後の今頃は、私はこの世にいないの?」
背を向けたまま、首を横に振っているお母さん。
そうだよね。半年たったって、私は生きているよね・・・・
生きていたいよ・・・
「私、まだ34歳だよ?まだ、やりたいこと、たくさん、たくさんあるのにぃ!!」
私は、自分でもどうしていいのか分からなくなった。分からなくて、狂ったように首を横にふりながら、両手で頭を掻き毟り始める。
お母さんは、走るように部屋を出ていった。
「なんで、なんで!!なんで私が!なんで、私なのよ!!!」
両手で力一杯、テーブルを叩く。思うがままに、私は痛みも忘れて叩き続けた。
置いてあった湯呑みを倒し、雑誌を壁に投げつける。見るもの全てが嫌になった。