彼女の日記〜きみを忘れない〜
「ごめん、遅くなった!待った?」
下を向いていた幸恵に声をかける。顔を上げた幸恵の顔は、不機嫌そのものだった。
「待ちました。10分の遅刻ですよ。」
「悪かったって!映画、30分からだろ?たかが10分くらい・・・」
その言葉が、幸恵の怒りをMAXにさせた。
「たかが10分!?待ってる方は、10分でも長いんですよ!まだかな、まだかなぁ〜って。・・・もう、来ないんじゃないかって、思いました。」
左手にはめた薄いピンク色の腕時計に視線をおとす幸恵。怒っているというか、怒っていないというか・・・