彼女の日記〜きみを忘れない〜


苦しくなかった?


痛くなかった?


最期に何を思った?


最期に誰の顔が浮かんだ?


一瞬で楽になれた?




「おかあさん?」


泣いている私の背中に、幼いゆいの声が聞こえた。


「おとうさん、どうしたの?」


私は、震える体を両手で落ち着かせ、涙を拭いた。


「ゆい。お父さんはね、神様のところへ行ってしまったの。だけど、お父さん寂しがるといけないから、お話してあげてね。」


おばあちゃんに抱かれたゆいは、不思議そうな顔をしていたが、素直に返事をしてくれた。


< 70 / 229 >

この作品をシェア

pagetop