彼女の日記〜きみを忘れない〜
『なんかね、仕事忙しいのに、思うように体が動かないの。』
「退院したばっかだし、あんまり無理するなよ。」
『そうだね。うん。』
電話の向こうは、ゆいの声だけで、あとは静かだ。
『あのね、観覧車の事なんだけど、乗らなくてもいいから、どこか行かない?』
「どこかって?」
『うーん。どこかは、どこか。』
「なんじゃそりゃ。」
ゆいは、すこし考えてから
『じゃあ、あそこに行こう。大学!』
俺たちが通っていた大学に行こうと言いだした。
「はぁ!大学?」
『うん。行きたい、行きたい!』
何で大学なんだ。もっと、他にないのかよ。
「あ〜わかった、わかった。いつにする?」
『8月23日。日曜。』
「決めるの早!他の事も、これぐらい早く決められるといいのにな。」
『うん、ごめん。』
8月23日。俺は(行きたくないけど)、大学へ行く約束をした。