彼女の日記〜きみを忘れない〜
ゆいの記憶 ―父の存在―
「お父さん、ゆいだよ。聞こえる?」
薄暗い狭い部屋に通された母と私は、父親と対面した。
「お父さん、眠ってるの?いつ、起きるの?」
そんな私に、母はやさしく、ゆっくりと、小さかった私と同じ目線で話をした。
「ゆい。お父さんはね、神様のところへ行ってしまったの。だけど、ゆいの声はちゃんとお父さんに届いてるから。毎日、お話してあげて。」
「かみさまぁ?ふ〜ん。じゃあ、毎日、お話する。」
「うん。いい子だ。」
母は、私の小さな頭をなでなでしながら言った。
何もわからない私は、毎日、写真の父に話しかけるようになった。