彼女の日記〜きみを忘れない〜
「その人が、おとうさん?じゃあ、ゆいちゃん、おとうさんいないんだね。」
「いるよ。ここに。」
写真たてをぎゅっと握り締めながら、強い口調で言った。
「ゆいちゃん。ゆいちゃんのおとうさん、死んだんだよ。」
「そんな事ないもん!!ここにいるもん!」
ゆいの大きな声が、座敷全体に響いた。
「ゆいちゃん、可哀相。」
さゆりは、哀れむような目でゆいを見つめ、そのまま帰ってしまった。
さゆりが帰った後、手に持っていた写真たてを両手で抱き締めた。