彼女の日記〜きみを忘れない〜
「第一声が『お父さん』かい!」
夢で立っていたお父さんの位置に、和樹がいた。
壊れそうな丸い椅子に座り、カタカタと揺らしながらこちらを見て笑っている。
「はぁ〜。」
また、夢・・・
「どうした?嫌な夢でも見たのか?」
「うーん。」
私は、起き上がった体を、またシーツの上に倒した。
「貧血ですね。」
医者は母親にそう言い、ゆいは1日だけ入院となった。
「和樹くん。」
帰り、エレベーターに向かう途中、母親に呼び止められた。
「ありがとうね。」
そう言うと、病室へと入っていった。