先生VS私
【なつめ】
一応、会場には来たものの、どうしても中に入ろうとは思わなかった。
(さくら…うまくやってるといいんだけど…)
そんなことを考えて歩いていたら、噴水のところに来ていた。
今年が私にとっての
【最期】
…ため息をついて噴水のふちに座る。
オーケストラの奏でる音楽が心地いい…
うっとりとしていると、会場から出てくる人影に気が付いた。
年に一夜の大イベントに参加しないなんて、変わった人もいるんだ……あ、…私も…か。
噴水の方に近づいて来た人に、一瞬固まった。
昼間といい、今といい…今日はこういう運命らしい…
いつもは嫌で嫌でしょうがないハズなのに、
今日は嫌じゃない。
「また会いましたね、伊達先生」
一人ぼっちの舞踏会は
二人の舞踏会に変更かな……
月明かりにてらされたその人は、あまりにも美しかった。