先生VS私
【伊達】
正直、俺は堅苦しいのは苦手だ。
それに舞踏会は毎年罪悪感でいっぱいになる。
こんな俺をパートナーにと言ってくれる生徒を断るたびに…
俺には人を愛する権利なんてないのだから…
名前も顔も思い出せないが、俺はその人の最期に何もできなかった。
きっと俺は、大切にしたいと思う人を不幸にしてしまう。
あの日から、俺は
“人を愛する感情”
…を捨てて生きてきた。
中庭の噴水に向かうと、そこには先客がいた。
暗闇と同化しそうなくらいのダークグリーンのドレスを身にまとい、悲しげな目で月を見上げている。
俺はこの悲しげな目を知っている。
「何してるんだよ、猿飛」
月にてらされたその人はあまりにも儚くて
今にも消えてしまいそうだった…