先生VS私
【伊達】
「一緒に躍らない………?」
気が付いたら、あいつを誘っていた。
踊りが好きというワケでなく、
舞踏会なんていう堅苦しいことが嫌いな俺が……
「そのお誘い、お受け致します……」
そう言った時の猿飛の表情は、
笑っているような、悲しくて痛々しい笑顔だった。
大人びた笑い方…
…痛みを隠しているような笑顔……
なぜか分からないけど、とても懐かしかった…。
俺の手の上に重ねられたアイツの手はあまりにも弱々くて、驚いた。
部活での力強さが、嘘みたいなくらい…
ホールに向かう途中に、思わず強く手を握ってしまった。
これに猿飛は驚いたのかは分からないが、猿飛に握り返される。
犬猿の仲の俺たちが、手をつないでいるなんて、みんな驚くだろうな…
「ねぇ、先生」
「ん?どうかした、猿飛?」
「…誘ってくれて……ありがとう…」
「猿飛…!?」
いつもは敬語しか使わないのに、今、猿飛は敬語じゃなかった。
それだけのことで嬉しくなる。
「おう、思いっきり楽しもうな!!」
俺の大声にビビりつつも、猿飛は笑った。
さっきとは違う、子供っぽい笑い方で…