先生VS私
「なつめ〜!!伊達先生〜!!」
「あっ、先生、さくらと水野先生ですよ!!」
人混みの中から大声で俺たちを呼んだのは、俺のクラスの真田だった。
なつめは真田の声を聞くや否や、繋いでいた手を、いとも簡単に振りほどいてしまった。
…少しくらい名残惜しそうにするとか出来ないものだろうか…
まぁ、俺がふざけて繋いでいただけだし、猿飛にそんな思考を期待するのは無駄だが……
「それにしても……真田は容赦ないんですね…」
「ははっ、本当に純粋というか…。あまりにも嬉しそうなので、つい……」
猿飛と話している真田は、いかにも“夏祭り満喫中”…という感じだ。
例に上げると、右手にりんご飴、左手に金魚、両腕には、たこ焼・焼きそば…だ。
ここまでくると、真田は“祭りマスター”にしか見えない。
水野先生と話していると、真田が言った。
「私たち、ちょっと2人で回って来ます!!花火の前には戻りますから〜……!!」
「ちょ、…お前ら!!」
最後まで言い切らない内に、2人は人混みに消えていった。
「伊達先生、猿飛さんが付いてますから大丈夫ですよ」
「そうですね、…じゃあ俺たちも一緒に回りますか?」
俺の言葉に水野先生は言った。
「先生と回ったら、女子生徒に嫉妬されそうですね〜」
「俺の方こそ、水野先生ファンに殺される…絶対…」
思わず、2人で笑ってしまった。
水野先生って真面目そうなのに、相当ノリいいしなぁ〜
そして俺たちは回り始めた。