先生VS私
猿飛さんのもとへ行って欲しいと頼むと、伊達は快く引き受け、出かけていった。
「……久しぶりですね…あの方の料理を食べるのは…」
「…さくら…?」
伊達が出かけてから、さくらが呟いた。
彼女の顔を見ると、とても悲しそうな…そして昔を思い出しているような懐かしそうな表情をしていた。
(…あぁ…彼女も思い出しているのか…)
思い浮かぶのは昔のある人の面影…。
勇ましく、男らしい性格の一方、実は料理が趣味だったあの方
料理を作る度に味見を頼まれていたあの頃…
【…ー…!!新作だ…要るか…?】
【はい…ー様】
「…先生…水野先生…」
「……っ…!!…すみません、つい…」
「…いえ、…楽しみですよね、水野先生?」
笑顔のさくらを見て、自分も笑っていた。
「そうだね…それじゃ、それまでにこれを終わらせようか」
「…はい!!」
私とさくらが、あの2人が仲むつまじく帰宅してくるのを知るのは、もう少し後のこと…ー