先生VS私
【さくら】
毎年毎年憂鬱な夏休みの終わり…
でも今年は違う。
だって水野先生といられるから。
半ば当たって砕けろ精神で意気込んでお願いした勉強会という名の宿題片付け会。
水野先生にも会えて、その上なつめも伊達先生とも一緒にいられる。
「…水野先生…」
「…ん?…どうした?さくら」
「…こんな穏やかで楽しい時が永遠に続けばいいのに」
いつも隠していた心の内を思わず口にだしてしまう。
…そう、大切な人の末路を知っているが故に。
すると彼はこう言った。
「…私達も、少しくらい今現在を楽しんでもいいと思いますよ?…私もさくらも」
「水野先生……。…そうですよね!!ごめんなさい、変な事言って」
しばしの沈黙を遮るかのように玄関から声がした。
「さ、お待ちかねの人が帰って来たようですね」
その言葉に大きく頷いて私は言う。
「…おかえりなさい!!」
そんな私を水野先生が温かく見守ってくれていた事を知るのは、もう少し先のお話。