おとぎ噺
あれから数日が経ち、今日はあたしの部屋に招待中。


だけどいきなり“赤い糸のほつれ”が見つかったところ。


「伊織、あたし聞いてないよ。」


さらっと重要事項をもらした彼は平然と言い返す。


「え?そうだっけ??俺出会った時に言った気がするよ。」


「それは伊織が見た夢の中でしょ?」


「あぁ、そうかも。」


夢で逢えたからって運命と思い込んでいたけど、実は早とちりかもしれないんだよね。


「あたしたちが見た夢って実は違うものなのかな?」


「そうなのか?俺の夢は…深夜のコンビニで絡まれてる千歳を助けて、お礼にって家に誘われて、仲良しし終わった時に、“俺は将来社長になるんだけど付いてきてくれますか?”って聞いたら、ニッコリ“はい”って言って抱きついてきたんだよなー。千歳可愛かったなぁ。涙目になりながら“やっと捕まえた。絶対に離さないから。”って言ったんだよ。」
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