【短】雪 と 同 じ よ う に 〜 降り積もる想い 〜






どうして、そんな辛そうな顔するの?


何故そんな消え入りそうな声で訴えかけるの?



私がそうさせているの?




「………ごめんね」



ごめんね。何にも言えないよ。
ごめんね。そんな顔にさせて…。



「俺が…俺が聞きたいのはごめんねじゃねーよっ」



「うん…ごめんね」



「くそっ」




どうしたら言いのか、全く分からなかった。


何て声をかければ言いのか…


でも、今私は謝ることしか出来ない。



綾斗ごめんなさい。



綾斗に何度も別れを撤回するチャンスをもらった。


だけど私はそれを冷たく突き放した。



ごめんなさい。




ふと窓の外を見ると、もう家の近くまで来ていた。



あぁ。もう少しで綾斗と過ごす時間が終わってしまう。



私はもう一度ぎゅっとクマの縫いぐるみを抱きしめた。





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