【短】雪 と 同 じ よ う に 〜 降り積もる想い 〜
−
あぁ。もう家が見えて来てしまった。
もう綾斗とはお別れなんだね。
今までの綾斗との思い出が走馬灯のように蘇る。
初めて好きになった人。
初めて彼氏になった人。
初めてキスをした人。
初めてデートをした人。
初めて、こんなにも失いたくないと思った人。
綾斗が全部、初めてを教えてくれたんだよ?
別れたくない。
でも、綾斗が幸せになるなら…
私は綾斗の幸せのために身を引く。
綾斗?私、それほど綾斗のことが大好きなんだから
幸せになってね。
涙は溢れだし一筋の涙が頬を伝った。
綾斗にはバレないように静かに流れた。
車が停まってしまった。
もう家に着いちゃったんだね。
車のドアに手をかけた時、腕を捕まれ引っ張られた。
私の目の前には綾斗の顔。
そして、二人の唇が静かに重なった。
−