【短】雪 と 同 じ よ う に 〜 降り積もる想い 〜








プルルルルルルルル、
プルルルルルルルル、
プルルルルルルルル、
プルルルル…ぷつっ。



「…もしもし」




久しぶりに聞いたその声は、大好きなあの人の声で、


何にも泣けるような事じゃないのに
涙が溢れてくるような…そんな気がした。



「あ、綾斗久しぶりだね…。」



「ああ。中々仕事が忙しくてな…、それに」



「それに?」



「いや、何でもないよ。」



それに浮気で忙しかったんでしょ?
なんて言えるわけでもなく…


そんな自分に嫌気がさす。




「ねぇ、電話した用件は?」



自分に腹がたったせいか、ちょっと嫌な言い方をしてしまったかも知れない。



「あ、そうだった。」




私の口調に対して何にも言われなかった事に胸を撫で下ろす。






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